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かいごの窓口の記録5

全国展開奮闘記 #7|全国共通の仕組みと、地域のつながりを両立する

かいごの窓口を全国へ広げるうえで、共通の業務基盤を持ちながら、地域ごとに異なる社会資源や人との関係を支援へどう生かすかを考えます。

執筆:かいごの窓口編集部

全国展開奮闘記 #7|全国共通の仕組みと、地域のつながりを両立する

前回は、全国で再現できる業務の土台をつくりながら、利用者一人ひとりへの支援まで一律にしないことを書いた。

今回は、その「地域版」について考えたい。

かいごの窓口を全国へ広げるためには、記録、相談、情報共有、OJTなどの共通基盤が必要になる。一方で、支援に使える社会資源や人とのつながりは、地域によって大きく異なる。

全国共通のマニュアルだけでは、地域で暮らす一人ひとりの生活を支えることはできない。

共通の仕組みを持ちながら、その地域を知るケアマネジャーの経験と関係性を生かす。その両立が、全国展開には欠かせないと考えている。

同じ課題でも、地域によって使える選択肢が違う

例えば、通院に困っている利用者がいたとする。

都市部であれば、複数の公共交通機関や介護タクシー、医療機関の送迎などを組み合わせられるかもしれない。

一方、車での移動が前提となる地域では、家族、近隣住民、民間の移送サービス、地域の支え合い活動など、別の方法を探す必要がある。

買い物、見守り、交流、食事、住まいの課題も同じだ。

制度上のサービス名が同じでも、実際の利用条件や空き状況、担当者との連絡方法は異なる。制度外の活動や地域住民のつながりが、生活を支える大切な選択肢になることもある。

だから、本部が全国共通の「答え」を用意することはできない。

地域資源は、一覧に載っている情報だけでは分からない

地域資源を整理するとき、名称、住所、電話番号、対象者、利用条件などを一覧にすることは必要だ。

ただし、実際に支援へつなぐには、それだけでは足りない。

  • どのような相談に丁寧に対応してくれるか
  • 利用開始までにどのくらい時間がかかるか
  • どのような人や生活状況に合いやすいか
  • 制度の対象外でも相談に乗ってもらえるか
  • 誰へ連絡すると話が早いか
  • 最近、受け入れ状況や活動内容が変わっていないか

こうした情報は、ウェブサイトやパンフレットだけでは分からない。

地域の事業所、医療機関、行政、民生委員、住民活動などと実際に関わり、対話を重ねる中で少しずつ分かっていく。

地域を知るとは、情報を集めるだけでなく、相談できる関係をつくることでもある。

ケアマネジャー一人の記憶だけにしない

地域の情報は、経験豊富なケアマネジャーの頭の中に蓄積されやすい。

「この困りごとなら、あの事業所へ相談してみよう」

「この地域には、住民が続けている集まりがある」

「以前は難しかったが、担当者が変わって相談しやすくなった」

こうした知識は支援の大きな力になる一方、個人の記憶だけに頼ると、担当変更や退職の際に失われてしまう。

かいごの窓口では、社会資源の基本情報だけでなく、実際に連携した経過や気づきを、守秘義務と個人情報に配慮しながら事業所内で共有できる形をつくりたい。

ただし、評価を固定するような記録にはしない。受け入れ状況や担当者、地域の活動は変わるからだ。

「いつ時点の情報か」「どのような支援で関わったか」「次に確認すべきことは何か」を残し、更新できる情報として扱う必要がある。

全国で共通にするのは、地域を知るための行動

地域資源の中身は全国で統一できない。しかし、地域を知り、関係をつくるための行動は共通化できる。

例えば、次のような行動だ。

  • 担当地域の医療・介護・生活支援資源を定期的に確認する
  • 地域ケア会議や研修で得た情報を事業所内へ共有する
  • 支援へつないだ後の経過を確認する
  • 利用者や家族がすでに持っているつながりを聴く
  • 制度サービスだけで解決しようとしない
  • 分からないときに地域包括支援センターや関係機関へ相談する
  • 情報が古くなっていないか更新日を確認する

全国で同じ社会資源を使うのではなく、どの地域でも、地域を知る努力を続ける。

その姿勢と確認の流れを、かいごの窓口の共通基盤にしたい。

本部が決めすぎないことも、仕組みの一部

全国展開という言葉からは、本部が運営方法を細かく決め、各拠点が同じように動く形を想像されるかもしれない。

しかし居宅介護支援では、地域の状況を無視して本部が判断すれば、実際の生活から離れた支援になる。

本部が担うのは、記録、情報共有、相談、教育などの基盤を整えること。安全や法令、支援の基本姿勢を共通にすること。各地域で得た工夫を、他の地域でも参考にできる形へ整えることだ。

地域のケアマネジャーには、地域の人と関係をつくり、目の前の利用者に合う選択肢を考える余白が必要になる。

本部がすべてを決めないことは、管理を諦めることではない。

共通にする部分と、現場へ委ねる部分を明確にすることだ。

現在地|まだ全国の答えを持っているわけではない

かいごの窓口は、すでに全国各地の地域資源を把握しているわけではない。全国展開が完成したわけでもない。

今は山形での居宅介護支援と事業運営を土台に、どこまでを共通にし、どこからを地域の判断へ委ねるべきかを一つずつ整理している段階だ。

だからこそ、各地域で実際にケアマネジメントをしてきた方の経験が必要になる。

その地域で、誰が、どのような思いで活動しているのか。制度には載っていないが、生活を支えている場所はどこか。連携が難しいとき、何が壁になっているのか。

地域を知るケアマネジャーと一緒に、地域ごとの「かいごの窓口」をつくっていきたい。

全国へ広げたいのは、同じ事業所ではなく、同じ姿勢

全国へ同じ答えを配るのではなく、どの地域でも本人の生活から考え、必要な人とつながり、判断を一人で抱えない事業所をつくる。

業務の土台は共通にする。支援は一律にしない。地域のつながりは、その地域を知る人と育てる。

全国へ広げたいのは、外見が同じ事業所ではなく、利用者の暮らしと地域に向き合う姿勢だ。

次回は、地域ごとの判断を尊重しながら、拠点同士で学びや失敗を共有する仕組みについて考えたい。


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