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かいごの窓口の記録4

全国展開奮闘記 #9|本部が全部決めると、地域の支援が遠くなる

全国へ広がるために必要な共通の土台と、地域に残すべき判断は何か。現場が利用者様と向き合う時間を守りながら、本部と地域がどう役割を分けるかを考えます。

執筆:かいごの窓口編集部

全国展開奮闘記 #9|本部が全部決めると、地域の支援が遠くなる

前回は、うまくいかなかったことも、次の拠点で役に立つ判断材料として残したいと書きました。

迷ったことや、途中で変えたことを共有するなら、次に考えるべきなのは、その声を誰が受け取り、何を変えるのかだと思います。

拠点が増えれば、本部が整えた方がよい仕事も増えます。一方で、本部が細かいところまで決めすぎると、地域の利用者様や関係者に近い人の判断が遠くなります。

全国へ広げたいからこそ、何を本部が引き取り、何を地域へ残すのかを、最初から分けて考えたいと思います。

本部に集めるべき仕事と、地域に残すべき判断は違う

例えば、記録の基本的な残し方、個人情報を扱うためのルール、相談を受けたときの連絡経路、研修の土台、困ったときに使う様式。

こうした仕事は、拠点ごとに一からつくらない方がよいものです。経験のある人だけが分かる状態にせず、本部が共通の土台として整え、必要なときに更新できるようにしたいと考えています。

一方で、利用者様がどの医療機関へ通いやすいか。ご家族とどのように連絡を取るのがよいか。地域で頼れる社会資源はどこか。地域の事業所や包括支援センターと、どのように関係をつくるか。

こうしたことまで、本部が一律に決めることはできません。地域で暮らす人の生活を支える答えは、その地域で関わるケアマネジャーや関係者と一緒に考える必要があります。

現場が抱えなくてよい仕事を、本部が引き取る

本部が仕事を引き取る意味は、現場を管理することではありません。ケアマネジャーが、利用者様と向き合うために必要な時間を守ることだと思います。

書類の様式が変わるたびに、各拠点が調べ直す。新しく入った人が、誰に何を聞けばよいか分からない。システムの使い方や運営上の判断を、目の前の支援と並行して一人で抱える。

こうした仕事まで現場へ渡してしまえば、拠点が増えるほど、支援とは直接関係のない負担も増えてしまいます。

本部は、共通にできる仕事を引き取り、現場から上がる困りごとを整理し、次の人が同じ場所で止まらない仕組みに変える。その役割を担いたいと考えています。

地域へ残すのは、勝手に決める余白ではない

地域へ判断を残すことは、「それぞれでやってください」という意味ではありません。

大切にしたいのは、判断を一人の経験や記憶だけに閉じないことです。なぜその支援を選んだのか。ほかにどのような方法を考えたのか。地域のどんな事情があったのか。次に似たケースがあれば、何を確認した方がよいのか。

こうしたことを残せば、地域の違いを尊重しながら、拠点同士で学び合えます。

本部が正解を配るのではなく、地域で考えたことを次の判断に使える形にする。各拠点は、利用者様の暮らしに近い場所で、その地域に合う支援をつくる。その関係が必要だと思います。

本部も、現場から離れない

本部が引き取る仕事を増やすと、今度は本部が現場から遠くなる危険もあります。

現場で使われないルールや、実際の流れに合わない仕組みを増やしてしまえば、支援を楽にするための本部が、別の負担になってしまいます。

だから、本部がつくったものをそのまま正解にしません。使いにくければ変える。項目が多すぎれば減らす。地域の判断を妨げているなら、共通ルールの方を見直す。

現場の声を受け取って仕組みを変え、その変化をまた現場へ返す。この往復を続けられる本部でありたいと思います。

まだ、きれいに分け切れているわけではない

かいごの窓口では、全国に広がったあとに必要になる仕事を、すでにすべて分けられているわけではありません。

今は山形での居宅介護支援と事業運営を土台に、現場が抱えなくてよい仕事は何か、地域でしか判断できないことは何かを、一つずつ整理している段階です。

本部が引き取ることで、現場の相談が遅くなるなら意味がありません。地域へ残した判断が、一人で抱える仕事になってしまってもいけません。

全国共通の土台をつくることと、地域の支援に近づくことは、反対のことではないはずです。

共通にするのは、現場を一人にしないための仕組み。地域へ残すのは、利用者様の暮らしに合わせて考えるための判断。

その二つを行き来できる組織をつくりながら、かいごの窓口を全国へ広げていきたいと思います。

次回は、拠点を増やすときに「最初に採用する人」と、どのように一緒に事業所をつくっていくかを書きます。


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