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かいごの窓口の記録4

全国展開奮闘記 #17|共通基準は誰が決めるのか——本部と各拠点の役割を分ける

全国展開に向けて、法令・安全など本部が決めること、地域連携など各拠点が決めること、双方で更新することを整理します。

執筆:かいごの窓口編集部

全国展開奮闘記 #17|共通基準は誰が決めるのか——本部と各拠点の役割を分ける

前回は、日々の判断ログを、現場を縛るマニュアルではなく「迷ったときに戻れる共通基準」へ育てる方法について書きました。

そこで次に出てくるのが、基準を更新するときに誰が決めるのかという問題です。

本部がすべて決めれば、統一はしやすい。しかし、地域や現場の事情を置き去りにする可能性があります。

各拠点へすべて任せれば、現場に合った判断はできる。しかし、拠点ごとに大切にすることまで変わり、同じ「かいごの窓口」と言えなくなるかもしれません。

現在、かいごの窓口は山形市内で二つの拠点を運営しています。

まだ二拠点だからこそ、代表や本部へ判断を集めれば、その場は早く進みます。ただ、このやり方のまま拠点が増えれば、本部の返事を待つ時間が増え、現場が自分で考えなくなります。

全国へ広げる前に、誰が何を決めるのかを分けておく必要があります。

本部だけで決めると、現場の声が細くなる

本部が正解を持ち、各拠点へ伝える形は分かりやすいものです。

ただし、居宅介護支援の仕事は、制度だけでは完結しません。

地域包括支援センター、医療機関、サービス事業所との関係。地域ごとの社会資源。利用者様やご家族との距離感。実際にその地域で動いているケアマネジャーにしか見えないものがあります。

本部の判断が常に優先されると、現場は次第に「聞かれたことだけ答える」ようになります。

それでは、地域に必要とされる事業所はつくれません。

各拠点だけで決めると、守るべき土台まで揺れる

一方で、地域に合わせることを理由に、すべてを各拠点へ任せるのも違います。

法令、個人情報、安全に関わる対応、利用者様やご家族との約束。かいごの窓口として、どの地域でも守るべき土台があります。

「現場へ任せる」と「現場へ丸投げする」は同じではありません。

判断できる範囲と、迷ったときに相談できる線を用意して初めて、安心して任せることができます。

判断を三つに分ける

現在は、判断する内容を大きく三つへ分けています。

1.本部が決めること

  • 法令や制度に関わること
  • 個人情報と情報管理
  • 利用者様の安全に関わる最低基準
  • かいごの窓口として守る約束
  • 複数拠点へ影響する仕組み

ここは、地域によって変えてはいけない土台になります。

2.各拠点が決めること

  • 地域の関係機関との連携方法
  • 営業や地域活動の進め方
  • 日々の業務を回すための細かな工夫
  • 共通基準の範囲内での勤務や連絡の方法

地域のことは、地域にいる人が最もよく分かっています。本部が方法まで細かく指定するのではなく、目的と守る線を共有したうえで任せます。

3.本部と拠点が一緒に決めること

  • 過去の基準では判断できない新しい事例
  • 同じ例外が繰り返されている業務
  • 一拠点の改善が、ほかの拠点でも使えそうなもの
  • 現場の自由と、全体の統一がぶつかるもの

ここを本部だけで決めず、実際に対応した人の判断過程まで確認します。

「意見を聞く」だけで終わらせない更新の流れ

役割を分けても、更新の方法が曖昧なら、結局は声の大きい人が決めることになります。

そのため、次の流れをつくっています。

  1. 現場が迷った事例を短い判断ログへ残す
  2. 本部判断、拠点判断、共同判断のどれかへ分ける
  3. 共同判断は、週に一度、一件ずつ確認する
  4. 誰が最終的に決めるかを明確にする
  5. 迷いが残る場合は、期限を決めた暫定ルールにする
  6. 決まった内容を、両方の拠点へ戻す

重要なのは、全員一致を待たないことだと思います。

必要な意見を聞いたうえで、最後に決める人を明確にする。ただし、決定理由は残し、現場の状況が変われば見直せるようにします。

ケアマネジャーが自分で判断できる組織にしたい

共通基準をつくる目的は、ケアマネジャーの仕事を細かく管理することではありません。

むしろ、毎回上司の許可を待たなくても、自分で考えて動ける範囲を広げるためにあります。

自由度の高い働き方は、何でも個人任せにすることではありません。

迷ったときに戻れる基準があり、難しい判断は一人で抱えず、現場で生まれた改善が組織全体へ戻っていく。その土台があるから、安心して任せられます。

かいごの窓口は、まだ完成した仕組みを全国へ配れる段階ではありません。

二拠点の今だから見つけられる詰まりを一つずつ直し、三拠点目、四拠点目でも、現場の判断を奪わずに支えられる形へ育てています。

全国展開は、看板を増やすことではありません。

地域の人が自分で考えて動きながら、困ったときには組織全体で支えられる状態を増やすことだと考えています。

次回は、増えていく共通基準を現場へどう戻し、「つくったけれど誰も見ない資料」にしないかについて書きます。


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